胆嚢は、肝臓に包まれるように存在している臓器で、消化液である胆汁を濃縮し、貯蔵しています。肝臓の細胞で作られ、胆嚢に貯蔵、濃縮された胆汁は、食べ物が十二指腸に送られてきたタイミングで、胆嚢の収縮により排出され、十二指腸に分泌されます。胆汁の主成分である胆汁酸は、脂肪の消化吸収を行う際に、重要な役割を果たしています。 また、胆嚢は、肝臓での代謝によって生じた不要物を、貯蔵し、排泄する役目も担っています。その代表的な物質であるビリルビンは、黄色い色素で、胆汁色素とも呼ばれます。

胆嚢の状態は、超音波検査で判断されます。肝臓や胆管への負担と炎症の程度は、症状に加え、血液検査で評価します。よく認められる胆嚢の病気として、胆泥、胆嚢粘液嚢腫、胆石があげられます。そこに細菌感染や炎症を伴う場合(胆嚢炎)もあります。胆嚢腫瘍の発生は、比較的少ないと言われています。 胆泥とは、胆嚢内に沈殿物を認める状態です。胆泥が発生しただけでは、症状を示さないことが多いでしょう。胆泥に伴い、胆嚢の運動性が低下することで、感染や炎症などが誘発され、症状を表す可能性があります。つまり、異常な状態には違いありませんが、全ての胆泥が病気だとは言い切れません。 胆嚢粘液嚢腫とは、胆嚢内に寒天状、ゼリー状の塊が形成される状態です。ただ、胆泥に比べると、より胆嚢の運動性が低下すること、胆嚢の壁にダメージを受けやすいこと、改善はほとんど見られないこと、などから胆嚢摘出手術を勧められることもあります。胆嚢壁へのダメージが重篤な場合には、胆嚢に穴が空いてしまい、命に関わる重篤な症状を示します。ただ、明らかな症状を示さないケースや、炎症の管理を行うだけで症状がコントロールできるケースも多いでしょう。 胆石とは、胆嚢内に結石が認められる状態です。人のように、結石の存在だけで、明らかな痛みを訴えることはほとんどありません。ただ、胆嚢の壁にダメージが加わることで、炎症が起こり、症状を訴える可能性があります。また、結石の大きさによっては胆管を閉塞してしまうこともあります。その場合には、手術が必要になるでしょう。 これら、3つの病気について、それぞれの発生原因や、病気間の関連性はわかっていません。発生リスクとして、内分泌疾患の存在や高脂血症、脂質の摂取量があげられます。病気への対処としては、基礎疾患の管理、脂質の制限された食事、胆嚢の機能を補助する薬の投与ですが、どれも奏功するとは限りません。症状を示さない場合も多く、示していても食欲不振や嘔吐など、他の病気でも認められる症状がほとんどです。しかし、重度な炎症や感染症を伴う場合、胆管の閉塞や胆嚢破裂が起こる場合もあり、そうなると、黄疸や腹膜炎などを伴って、重篤な状態に陥る危険性もあります。

胆嚢摘出手術についてお話しします。胆嚢に病変が認められたからといってすぐに手術をした方がいいわけではありません。症状や経過を追っていき、その結果から判断すべきでしょう。重篤な状態に陥った際に手術するのでは、リスクが格段に増大するため、早めに手術をする方がいいという考え方もあるでしょう。しかし、手術の目的は、胆嚢破裂の予防や、炎症の温床部位を取り除くことです。肝臓自体に問題があれば、手術をしたからといって、血液検査の数値が改善するとは限りません。胆嚢を摘出しても深刻な影響は見られない、体は対応できるようになる、と言われていますが、胆嚢がないことで脂肪の消化吸収の遅延につながる可能性はあります。色々な考え方や意見がある中で、現状、個人的には、早期の手術を強く勧めることはありません。