犬の外耳炎

「急に発症する!」、外耳炎は、そんな印象を持たれている病気です。「ついさっき、耳を掻き始めたので、覗いてみると、すでに真っ赤に腫れてしまっていた。」という話をよく聞きます。そんな外耳炎に悩まされている、わんちゃんやご家庭は、多いようです。しかし、外耳炎は、いわゆる「体質」が関与している場合がほとんどで、完治よりも、悪化させないように、慢性化しないように、上手に付き合うことが大切になるでしょう。 外耳炎は、治療を行うとすぐ治るのに、ある日突然、再発してしまいます。なぜ再発したのか、理由は何も思い浮かびません。だからと言って、放っておくと、より悪化し、痛みを伴うだけでなく、悪臭を放つようになり、治療期間も延びてしまいます。繰り返す外耳炎、長期間続く外耳炎、治りづらい外耳炎の中には、中耳炎に陥っている場合もあるようです。

外耳炎は、原因に加えて、様々な要因や誘引が関連しあって発症します。診察では、現在の状態を把握するために、全身の身体検査(特に皮膚や便の状態)と、耳の観察(構造上の問題の有無、炎症の程度や範囲、耳垢の状態)を行い、ご家族からは、誘発要因(季節や気温、湿度などの影響、おやつや食事、シャンプー、自宅でのケア、外傷など)や、訴えの程度(痒みや痛みの様子、期間、経過など)を聞き取ります。そして、皮膚や耳垢の検査を行った上で、アレルギーやアトピーを含む免疫疾患や、ダニや真菌などの感染性疾患の有無を検討し、最初の治療方針が決定されます。 治療は、原因が判明すればそれに対する治療、抗菌薬や消炎剤などの投薬、耳の状況に合わせた外用薬、食事療法やサプリメントなどの体質改善、外来での耳洗浄など、それらを組み合わせて行います。最近では、内視鏡を用いて、耳の洗浄を行う施設もあります。 治療が開始されたなら、その効果について評価し、追加検査の必要性、方法の見直し、目標の再設定、再発予防、などについて再検討します。

本院では、病状の程度にもよりますが、主に通院での耳洗浄のみを行うことが多いです。しかし、それが効果を示すには、ある程度の頻度で通院する必要があります。それは、わんちゃんやご家族にとってストレスになるかもしれません。しかし、症状が少し良いから、わんちゃんが嫌がるから、などという理由で、治療を休止するのは、治療を長引かせたり、再発の不安材料となります。そのため、病状の経過からだけではなく、ご家庭に受け入れやすい治療方法も相談させていただきます。治療目標は、外耳炎の原因究明や予防よりも、悪化させないことに重点を置いています。

ご家庭では、早めの対応ができるよう、日常の観察やケアを勧めています。ただし、自宅でのケアは獣医師の指導を受けること、治療中は指示がなければケアは行わないこと、が大切です。