猫の慢性腎臓病に対する早期診断と早期介入について
慢性腎臓病とは、腎臓への持続的な負担によって、その構造に変化が起き、機能が徐々に低下していく病気です。腎臓病も専門医療の時代になってきているようですが、継続的な通院が必要になる慢性腎臓病の多くは、かかりつけ医で対処されていることと思います。そのため、ご家族が、病気に対するかかりつけ医の考え方を知ることも大切でしょう。
猫の慢性腎臓病について、よく耳にする話に、次のようなものがあげられます。
1猫では慢性腎臓病が多い。
2水を飲む量や尿の量が増えるのは腎臓病かもしれない。
3早期の診断が難しい。診断が確定した時には、病態がすでに進行している。
4診断された場合には、早期に対応を始めることが重要。
5腎機能が一旦低下してしまうと改善は期待できない。
6食事療法が大切。
現時点における腎臓病の早期診断と対応について、お話しします。
腎臓病の診断は、症状(飲水量や尿量の増加を含む)や体重の推移を観察し、腎臓に負担をかける病気(尿路の感染や結石、心臓やホルモンの病気など)の有無を調べます。そのために、定期的な血液検査や尿検査、画像検査などの臨床検査を繰り返して行います。早期診断といっても、一度の検査ではなく、繰り返し得られた結果を吟味して判断します。それに加えて、ご家族からの情報や体重の変化も重要になります。
慢性腎臓病のリスクがあると判断された場合には、その進行速度が予測できないこともあり、早めの対応が必要だと言われています。ただ、その目的は病気を治すことではなく、進行を抑制することになります。対応として、いくつかの内服薬を、病状や病期に応じて投与します。ただ、それらは、短期的に、目に見える効果を期待、また判定することはできません。腎臓病の経過は、長期的に評価し、方針を調整していかなければなりません。そのため、治療については、効果よりも、負担の有無の方が優先されることの方が多いでしょう。漫然と経過観察を行うのも良くありませんが、ご家族とねこちゃんにとって負担にならないよう、それらのバランスが重視されます。
食事管理は、本人が受け入れ可能であれば、最も害がなく、効果的だと思われます。ただ、腎臓病用の食事を選択すればいいというわけではありませんので、かかりつけ医と相談して決定しましょう。